エッチング技法

幼い頃から古代史とか古いもの、錆びたものに惹かれました。

今でもピカピカに光るものも良いけれど、くすんだものがやっぱり好き。

中学生の頃の夢は考古学者でした(早々に脱線しましたがww)。

結局古いものが好きなんです。

それよりも、段々と古くなっていく過程の方が好きなのかもしれません。

歳を重ねることは素晴らしいことだと肯定的に捉えてます。

だからか、あまりモノに対して執着心がなく、ビンテージの服や雑貨を買うことはあっても収集することはなかったです。

それよりも「すごく良い感じのモノだけど、誰が作ったんだろう?」という謎の物体に魅力を感じてきました。

そう、掘り出し物を見つけた時の、あの感じが好き。

たぶん、思考が考古学的というかw

「縄文土器見つけた!」みたいな^ ^

小生、グラフィックデザインの仕事をしていて、自分のデザインで商品を作ろうとTシャツなどを製作販売しています。

Tシャツはある人にとっては特別なものかもしれませんが、大量生産・大量消費社会の中では「消耗品」の1種です。

何度も洗濯すればクタクタになり色褪せ、着れなくなれば転売するか捨ててしまうでしょう。

捨てられ回収された衣類の多くはアジア諸国などへ。

何だかなあという思いがどこかにありました。

消耗品ではない、もっと特別なものを作りたい。

大量生産ではなく、僕の手で、僕の感覚で、誰かにとって特別なものを作りたい。

そう思うようになりました。

そこで思い出したのがベトナムジッポーでした。

誰がジッポーに彫刻してたかというと、現地ベトナムの名も無き便利屋さんたち。

アメリカ兵からオーダーを聞き、ほぼおまかせで一点モノを作っていました。

その名も無き便利屋たちが作ったジッポーライターが何十年も経って、偽物もたくさん出回ったせいもあり価値が生まれました。本物は現存数がとても少ないそうです。

便利屋たちは彫金師ではありません。だけど絵を描いて、彫ってました。

雑な出来栄え、ヘタクソな絵。

それでもその「手作り感」が良くて、人気が上がり価値が生まれました。

きっちり綺麗な仕上がりのものより、手作り感がある方が良い。

もしベトナムジッポーが綺麗にきっちり寸分の狂いもなく作られていたら、価値は無かったんだろうと思います。

それって結局、大量生産できるってことですから。

何年後、何十年後にもカタチが残り価値があり続けるもの。

そういうものを作りたいと思いました。

また、2017年年末に行ったマレーシア、とりわけマラッカにすごく感動しました。マラッカは欧米色が色濃く残り、アンティーク屋・骨董屋も多いです。店々に並ぶアンティークをまじまじと観察しました。マレーシアに行ったことも、僕の作品づくりに大きく影響していると思います。

そして気がつけば真鍮の板を手にしてました。

なぜかよくわかりません。

このあたりの記憶がまったくありません。

そして「エッチング技法」という作り方。

銅版画や基板製作に施される、金属類を腐食させて絵を描く技法を思い出しました。

毎日毎日、あーでもないこーでもないと試作しました。

めちゃくちゃ苦しかったです。

うまくいったと思えば、次には失敗する。

またふりだしにもどる。その繰り返し。

失敗の原因を1つずつ潰し、なんとか安定して製作できるようになりました。

まずは真鍮のキーチェーンを販売します。

キーチェーンですが、ペンダントトップとしても使えそうですね。

真鍮は使い込むうちに黒っぽく渋い色味に変化していくのが特徴で、重厚な存在感を放つ独特の個性として楽しめます。

サイズはおおよそです。W35mm H65mm 厚み1mmです。

エッチング(腐蝕)という技法で図案を彫っています。

基本的に荒削り、荒磨きです。腐蝕の具合もその時々で変わります。

きっちり寸法ではなく、1点1点エッチング具合も違いますので、同じデザインでも1点ごとに違い、風合いも違います。

商品のご紹介はできるだけ詳細な写真・動画にてご紹介していきますので、そこでご判断ください。

大量生産のように、まったく同じものを量産できません。

風合いも風まかせ。

そんな1次産業的な側面にも惹かれる技法です。

追って「結婚記念」「誕生記念」などのセミオーダーも受け付けたいと思いますので、あらためてご案内いたします。